異常気象と気候変動:世界の報道分析 ~2つを関連付けた報道割合、日本は英米独の3分の1未満~

 

この度、一般社団法人クライメート・ダイアログは、異常気象(極端現象)と気候変動に関する報道を比較した分析結果を発表しました。2022年1月から2023年8月の主要な報道機関を対象とし、日本と英米独の傾向の違いを分析したところ、日本は極端現象と気候変動を結び付けた報道の割合が3分の1未満であることが明らかになりました。

本分析は、報道関係者をはじめとして、気候変動分野に携わる方々に日本と海外における報道の傾向を把握する参考資料として活用していただくことを目的としています。

引用や研究の参考にされる際は、注意事項、著作権、免責事項の欄(下部と資料内に記載)をご確認いただくようお願い致します。

【調査結果概要】

 
  • 極端現象に関連する記事のうち、気候変動について言及している記事の割合は英米独では24.1%に対し、日本は3分の1足らずの7.8%だった(p.7、下記グラフ参照)。
 
 

  • 気候変動に関連する報道の割合が英米独の平均値(4.2%)を上回る日本の媒体はなかった(p.4)。
  • 気候変動を比較的多く報道している日本の媒体もあるが、極端現象の記事の中で気候変動についての言及は極めて少ない(p.8)。

 

【分析結果】

 
CDJ気候変動報道比較分析(V4.3)_JP_240404版

 

【引用】

 

自社の媒体で分析結果を引用したい、可能か?どこに連絡すれば良いか?

下記の著作権、免責事項をご一読ください。転載についてやその他質問がある場合は一般社団法人クライメート・ダイアログ(contact@climatedialogue.jp)までご連絡ください。

 

【著作権】

 

当団体が公表するすべての著作物について、私的な利用や引用など、著作権法上認められた場合を除き、無断使用(複製、転載、改変、送信、販売等)することを固く禁じます。使用の際には、事前に必ずご相談ください。

引用の際は、以下の条件を遵守いただき、また、著作者人格権にもご配慮をお願いします。数値データのみを利用する場合でも、出典の明記をお願いします。

 

  • 著作物を引用する必然性があること
  • 報道、研究その他の引用の目的上、正当な範囲内で行われること
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  • 当団体(「一般社団法人クライメート・ダイアログ」)を出所として明記すること
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【免責事項】

 

当スライドに含まれる情報につき、内容の正確性、安全性または目的適合性を保証するものではありません。利用者は自身の責任と判断で当該情報をご利用いただきます。当該情報の利用によって利用者に生じた損害につき、当団体は一切の責任を負いかねます。

 

【よくあるご質問】

※媒体名など主な手法については分析結果(上記スライド)をご覧ください。

 

1.分析の対象国、および、媒体はどのような基準に基づき選定したのか?

 

<国の選定>

米国と英国を英語の媒体のサンプルとし、非英語圏の一例としてドイツを選定しました。今後の分析対象として、必要に応じてスペインやフランスなど範囲を拡大させていく予定です。

本分析は、それぞれの国の主要なメディア媒体を抜粋したものです。その為、本分析の結果は、国全体の実際の割合を表すものではありません。

 

<媒体の選定>

「主要メディアとテレビ1社」に統一し、購読者数を考慮して世間一般的な報道の傾向が分かる媒体を選定しています。そのため、媒体の種類(新聞・雑誌)等には相違があります。

データ取得のツールの都合上、テレビ番組は含まれていません。テレビについては、オンラインで公開されているニュース記事がテキスト形式で提供されているものを対象としています。

 

2.どのように極端現象や気候変動の記事を選定したのか?

 

<コンセプトとキーワードについて>

コンセプトとは、人物、場所、組織、現象等を表すウィキペディアにリンクされたキーワードで、固有表現抽出1とエンティティ・リンキング2と呼ばれる自然言語処理によってニュース記事から記事が特定されます。ウィキペディアのページに紐付けされているため、多言語の分析を可能としています。

 

<極端な気象現象の記事の選定>

記事のアーカイブから、極端な気象現象に関する単語に一致する結果を検索します。しかし中には、関連する単語が含まれていても、記事の焦点ではないものがあります。

  • スポーツが大雨で中止に関する記事
  • 災害地域に首相が訪問した際の記事
  • 気候変動がメインテーマだが、中で極端現象に言及している記事

など、全検索結果の内30~50%は極端現象とは直接関係がないものが含まれます。

検索結果に対してクラスタリング3と呼ばれる処理を行うことで、記事を大まかなテーマ別のグループ(例:極端現象、気候変動、スポーツ、政治等)に選別することで、直接関係しない記事は除外されます。

 

<気候変動記事の特定>

上記から抽出された極端現象に関連する記事の中から、気候変動についても言及している記事を特定しています。各記事に気候変動に関連するコンセプトやキーワードが存在すれば、その記事は気候変動に関連するものとします。

 

1.固有表現抽出:文章から固有名詞(人名・地名・出来事など)に日時や数量などの固有表現を機械的に取り出す言語処理(NTTデータ先端技術株式会社)。

2.エンティティ・リンキング:文章中の単語の意味を文脈を理解して紐付ける言語処理技術(NLP Progress/Wikipedia

3.クラスタリング:様々なテーマが混在するデータセットから、グループやパターン見つける分析(MathWorks/Wikipedia

 

3.データ取得方法について教えてほしい。

 

世界中の約15万のニュースソースを扱うDaaS(Data-as-a-Service)プロバイダー、eventregistry社のnewsapi.aiからデータを収集しています。

データは、Googleと同様の方法でスクレイピング4され、上記で紹介した固有表現抽出とエンティティ・リンキングなどの処理が施されます。

4.スクレイピング:ウェブサイトから情報を抽出する技術(インターネットアカデミー/Wikipedia

 

4.分析期間を2年にした理由は何か。

 

近年の傾向を把握するため、そして年間を通して比較が出来るように2年としました。今後の分析では期間の拡大の可能性があります。

 

【お問い合わせ先】
一般社団法人クライメート・ダイアログ
contact@climatedialogue.jp