気候危機などで、2050年までに12億人が住む場所を追われる可能性
日本では少子化が社会問題となっていますが、世界的には人口は増加し続けています。世界の人口は 2050 年までに100億人になると予測されています。
世界の人口推移と今後の予測
出典:国連 DESA 『World Population Prospects 2019』
人口増加を背景に、深刻な気候変動などの影響により、人々は住む場所を追われるのではないかと懸念されています。
豪シンクタンクの経済平和研究所が発表した報告書(2020年9月)では、「2050年までの今後30年間で最大12億人が避難民になる可能性がある」、と予測しています。
報告書は、水と食料の不足が大規模移住の要因となると指摘しており、今回調査対象となった157カ国のうち、34%の国が今後30年の間に深刻な水ストレス(水需要が使用可能な量を超えること)に直面し、22%の国で深刻な食料不足に陥るとしています。
また、10億人以上が現在、2050年までに起こる生態系変化の影響に耐える環境を十分にもたない31か国で暮らしており、安全性の高い国々への大量の人口移動を引き起こすことが予測されています。
こうした要因が重なり、最大で12億人規模の人口移動が引き起こされるのではないかと考えられています。
出典:報告書『ECOLOGICAL THREAT REGISTER2020』(経済平和研究所)
スティーブ・キレア氏(経済平和研究所創設者兼理事長)は、「生態系への脅威および気候変動は、地球の平和を脅かす深刻な課題となっています。今後30年間、食糧や水へのアクセスが不足している場合は、地球規模の協力を直ちに行わなければ、改善することはありません。また、市民の不安につながることで、暴動や紛争が増加する可能性が高くなります。」と語っています。