Global Carbon Budgetレポート:1.5℃目標のCO2排出リミットは残り8%以下

国際研究事業のGlobal Carbon Projectが、年次報告書「グローバル・カーボンバジェット2020」を発表しました。

12月12日のパリ協定5周年を前にして発表​​されるレポートによれば、温暖化をパリ協定の目標の範囲内に収めるには、2020年から2030年の間に平均して毎年約1~2GtCO2の削減が必要となります。

産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えようとする場合、カーボンバジェット(CO2の排出リミット)は8%しか残っておらず、現在の排出スピードでは10年弱で到達してしまう​ことが分かりました。

レポートによれば、パリ協定から5年経った現在、世界のCO2排出量の伸びは鈍化し始めており、近年、排出量の増加スピードは遅くなっています。これは、一部、気候変動政策の広がりの結果の可能性があります。また、2020年までの10年間で、化石燃料からのCO2排出量は、経済成長を続けながら、24か国で大幅に減少しました。

一方で、研究者らは、世界の排出量の長期的な傾向は、COVID-19の世界的大流行に対応する経済刺激策に大きく影響されるため2021年以降にどれだけの排出量が戻るかを述べることは時期尚早であると警告しています。

気候変動の深刻な被害を避けるためには、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に収めることが重要になります(IPCCの1.5度レポートによれば現在既に1℃上昇)。経済回復策をいかに気候変動対策と合わせて実施し、この10年の間でカーボンバジェット(CO2の排出リミット)を超えないようにできるかどうかが問われています。

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